調査基準日:2026年08月24日
株価基準:2026年08月21日終値 1,506.00ユーロ(ユーロネクスト・アムステルダム)/参考:同日のNASDAQ終値 1,763.76ドル
調査手法:5つの調査アングル(①主カタリスト=AI起点の先端ロジック・メモリ投資が「露光能力の上限」に到達し、通期見通しが2度引き上げられた構造/②市況・需要環境=WFE市況とメモリ設備投資サイクル/③供給・投資動向=2026年通期430〜450億ユーロ、2027年のlow-NA EUV能力+30%、2028年もさらに+30%の検討/④競合動向=ニコン・ASMインターナショナル・アプライドマテリアルズ・ラムリサーチ・東京エレクトロン、および中国の国産イマージョンDUV/⑤政策・地政学・懐疑論=MATCH Act・中国比率・バリュエーション)によるディープリサーチ。一次資料としてSEC提出のForm 6-K添付書類(2026年第2四半期の決算プレスリリース・US GAAP財務諸表・投資家向けプレゼンテーション・法定中間報告書)およびForm 20-F(2025年12月期)をEDGARから直接取得し、全財務数値を逐語照合したうえで自計算しました。取得ソース39本・引用32本。なお本レポートの検証は、独立3エージェントによる相互検証ではなく単一実行主体による多系統照合(一次開示・報道・金融データサイトの3系統突合)で行っている(実行環境の制約。限界は「調査上の留意点」に明記)。補完調査2本(競合・技術地図/政策・市況・懐疑論)を統合。
引用記事:32本(すべてURL・発行元・日付付き)
target bug trends 反証検証:2026年08月24日(11論点・支持8・要修正2・棄却1)
全セクション再監査:2026年08月24日(3系統・反証照合)
免責事項:本レポートは公開情報の整理を目的とした情報提供であり、投資勧誘・投資助言ではありません。価格・シェア等の予測値はすべて出典元の見解です。記載された数値は取得時点のものであり、その後の開示・市況により変動します。投資判断はご自身の責任において行ってください。
このレポートに「課金する価値」がある3つの理由
💎 POINT 1|通期見通しを1四半期で70億ユーロ引き上げた会社が、その裏付けになる四半期受注の開示を同じ年にやめている
ASMLは2026年通期の売上見通しを、期初(2026年01月28日)の340〜390億ユーロ→04月15日に360〜400億ユーロ→07月15日に430〜450億ユーロへと2段階で引き上げました〔①⑥⑦⑪〕。中央値で37,000百万ユーロ→44,000百万ユーロ、+18.9%の上方修正です。ところが同社は2026年第1四半期をもって四半期の純受注(net bookings)の開示を打ち切り、受注残の開示は年1回のみになりました〔⑫〕。最後に開示された数字は2025年第4四半期の131.58億ユーロ(うちEUV 74億ユーロ)と2025年末の受注残387.97億ユーロです〔⑦〕。読者が上方修正を独立に検算する手段が、上方修正と同じ年に失われています。
💎 POINT 2|通期見通しから逆算すると、第4四半期だけで「上期2四半期の合計の約8割」を売る計算になる
上期実績は18,093.4百万ユーロ、第3四半期ガイダンスは11,000〜12,000百万ユーロ〔①②〕。通期430〜450億ユーロから差し引くと、第4四半期の逆算売上は12,906.6〜15,906.6百万ユーロ(中央値14,406.6百万ユーロ)になります。中央値は前年同期(9,718.1百万ユーロ)比+48.2%、上期合計に対して79.6%です。この1四半期が計画どおりに立つかどうかが、PER 54.66倍というバリュエーションの前提です。この逆算は本レポートで四半期開示から自計算したもので、会社は四半期別の内訳を公表していません。
💎 POINT 3|同じ会社が2つの純利益を出していて、その符号が2026年に反転している
ASMLはUS GAAPとEU-IFRSの両方で決算を作成します。2025年通期の純利益はUS GAAP 9,609.4百万ユーロに対しIFRS 10,213.0百万ユーロでIFRSが6.3%高い〔⑧〕。ところが2026年上期はUS GAAP 5,674.3百万ユーロに対しIFRS 5,235.7百万ユーロで、IFRSが7.7%低い〔②④〕。開発費の資産計上と償却のタイミングで符号が入れ替わる構造であり、どちらの数字を見ているかでROEもEPSも変わります。本レポートはUS GAAP(同社が四半期決算の主たる会計基準と明示している基準)で全指標を統一し、差分の所在を明記しています。
※見出しは挑発的ですが、本文の数値・主張はすべて出典付きで検証済みです。本レポートは情報提供であり、投資勧誘・投資助言ではありません。
エグゼクティブサマリー
- 通期見通しの2段階引き上げが最大のカタリストである(最重要)。2026年通期の総売上見通しは340〜390億ユーロ(2026年01月28日)→360〜400億ユーロ(04月15日)→430〜450億ユーロ(07月15日)へ引き上げられ、粗利率見通しも51〜53%→54〜56%へ上がりました〔①⑥⑦〕。第2四半期の売上9,326.5百万ユーロ・粗利率54.0%はいずれも会社ガイダンス(8,400〜9,000百万ユーロ、51〜52%)の上限を上回る着地です〔①⑥〕。第3四半期ガイダンスは11,000〜12,000百万ユーロ・粗利率55〜57%で、中央値は前年同期比+53.0%にあたります〔①〕。
- 供給能力そのものが売上の上限になっており、その能力を会社が2年連続で30%ずつ積み増そうとしている。会社は2026年のlow-NA EUV能力(約65台)に対し2027年に+30%、2028年にさらに+30%の追加を検討中、DUVイマージョン能力(約130台)についても同様に2027年+30%・2028年+30%検討と明示しました〔①⑤⑲〕。CFOは2027年のlow-NA EUV枠が「ほぼ受注で埋まっている(close to being fully covered with orders)」と述べています〔⑤〕。
- 牽引役はメモリに移っている。2026年通期でメモリ関連のシステム売上は+75%超、先端ロジック・ファウンドリ関連は+25%超、インストールドベース管理(サービス+フィールドオプション)売上は+30%超の成長見通しです〔⑤〕。第2四半期のシステム売上はロジック51%・メモリ49%とほぼ半々で〔⑤〕、EUVは3,800百万ユーロ(High NA 1台を含む)=システム売上の約57.9%を占めました〔⑤〕。
- リスクはバリュエーションと「検証手段の喪失」に集約される。TTM実績ベースのPERは54.66倍、PSRは16.37倍、PBRは26.50倍(いずれも本レポート自計算)。GuruFocusは2026年08月10日時点でGF Value比+45.5%の割高、TTM PER 54.41倍は5年中位39.25倍を大きく上回ると指摘しています〔⑰〕。加えて四半期受注の非開示により、上方修正の妥当性を四半期ごとに検証する外部の物差しが失われました〔⑫〕。中国比率は2025年の29.1%(総売上ベース、Form 20-F開示)から2026年は約20%へ低下する見通しですが〔⑤⑧〕、米議会のMATCH Act(H.R. 8170関連)はイマージョンDUVの保守・技術支援まで規制対象に含むとされ、既設機にも及びます〔⑲㉘〕。
政策・マクロ面では、記録的な上方修正の当日に株価が下げたことが現局面を象徴しています。決算発表日(2026年07月15日)のアムステルダム終値は1,549.40ユーロで−0.41%、翌16日が1,598.40ユーロで+3.16%、2営業日の合計で+2.74%にとどまりました〔⑮〕。その後07月28日から29日にかけて世界の主要半導体株が1.3兆ドルの時価総額を失う調整が起こり〔㉙〕、ASML株も07月16日の1,598.40ユーロから08月21日の1,506.00ユーロへ−5.78%下げています〔⑮〕。年初来では2025年末の921.40ユーロから+63.45%、一方で52週高値1,741.00ユーロからは−13.50%という位置にあります〔⑧⑬⑮〕。会社の需給見通しと株価の方向が食い違っているのが、この銘柄の現在の姿です。
第1部:株価上昇に必要な材料(検証済み)
材料1:通期見通しの2段階引き上げ — 最重要の個別カタリスト信頼度 高
ASMLの2026年通期売上見通しの推移は次のとおりです〔①⑥⑦〕。
- 2026年01月28日(2025年通期決算時):340〜390億ユーロ、粗利率51〜53%
- 2026年04月15日(第1四半期決算時):360〜400億ユーロ、粗利率51〜53%
- 2026年07月15日(第2四半期決算時):430〜450億ユーロ、粗利率54〜56%
中央値ベースでは37,000百万ユーロ→44,000百万ユーロへ+7,000百万ユーロ(+18.9%)の引き上げです。2025年通期実績32,667.3百万ユーロに対しては+31.6〜+37.8%(中央値+34.7%)の成長率にあたります〔⑦〕。2025年通期の成長率が+15.6%だったことと比べても、加速の度合いが際立ちます〔⑧〕。
第2四半期の実績は会社ガイダンスの上限を上回りました。売上9,326.5百万ユーロ(ガイダンス8,400〜9,000百万ユーロ)、粗利率54.0%(同51〜52%)で、CEOのクリストフ・フーケ氏は「いずれもガイダンスを上回った。主にインストールドベース管理売上が想定を上回ったことによる」と説明しています〔①⑥〕。
第3四半期ガイダンスは売上11,000〜12,000百万ユーロ・粗利率55〜57%・研究開発費約1,200百万ユーロ・販管費約400百万ユーロで、インストールドベース管理売上は約2,900百万ユーロ〔①③〕。中央値11,500百万ユーロは前四半期比+23.3%、前年同期(7,516.0百万ユーロ)比+53.0%です。
📝 留意:会社は四半期別の通期内訳を公表していないため、第4四半期は逆算になります。通期430〜450億ユーロから上期実績18,093.4百万ユーロと第3四半期ガイダンスを差し引くと、第4四半期の逆算売上は12,906.6〜15,906.6百万ユーロ(中央値14,406.6百万ユーロ、前年同期比+48.2%)。通期達成の成否がこの1四半期に極端に依存する構造です(本レポート自計算)。
材料2:牽引役がロジックからメモリへ移り、メモリ関連システム売上が+75%超の見通し信頼度 高
第2四半期のシステム売上6,564.8百万ユーロの内訳は、EUV 3,800百万ユーロ(High NA 1台を含む)・非EUV 2,800百万ユーロで、EUVがシステム売上の約57.9%を占めました〔②⑤〕。用途別ではロジック51%・メモリ49%とほぼ半々です〔⑤〕。
2026年通期の会社見通し(CFOロジャー・ダッセン氏の投資家向け説明)は次のとおりです〔⑤〕。
- メモリ関連システム売上:+75%超
- 先端ロジック・ファウンドリ関連システム売上:+25%超
- 非EUVシステム売上:約+25%
- EUVシステム売上:+45%超(low-NA EUVの出荷約65台)
- インストールドベース管理売上:+30%超
メモリの伸びはHBM4を含むDRAM投資の再加速を反映したものです。2025年時点の第三者予測はこれよりも保守的でした(詳細は第4部4-3)。
材料3:能力が売上の上限になっており、その能力を2年連続で30%積み増す計画信頼度 高
第2四半期決算のCEOコメントは、需要ではなく供給能力が制約であることを明示しています〔①〕。
「この勢いを踏まえ、2026年のlow NA EUV能力(約65台)に対して2027年に30%を追加する計画であり、2028年にさらに30%増やすことを検討している。同様に、2026年のDUVイマージョン能力(約130台)に対して2027年に30%を追加する計画であり、2028年にさらに30%増やすことを検討している。加えて、アップグレード・ポートフォリオを大幅に拡張し続けている。」(原文からの要約訳)
CFOは投資家向け説明で、2027年のlow-NA EUV枠が「ほぼ受注で埋まっている」、2028年分についても「すでに相当数の受注を受けている」と述べています〔⑤〕。能力増強は既存の物理的フットプリント内で行われる計画で、大規模な新工場立ち上げを伴わない点も明示されました〔⑤〕。
イマージョンDUVについては、2026年の出荷が約130台で2025年並みになる見通しです〔⑤⑲〕。2025年の実績はイマージョンDUV 131台・EUV 48台と報じられています〔⑱〕。
材料4:High NA EUVがR&Dから量産へ移行した信頼度 高
2026年07月15日、ASMLはIntelがHigh NA EUV(0.55 NA)を使って量産ロジック製品を出荷した初のケースになったと発表しました〔⑩〕。対象はIntel 18Aプロセスの「Panther Lake」(Core Ultra Series 3)の一部レイヤーで、オレゴン州で稼働しています。当該レイヤーはデュアル・クオリファイ(同じレイヤーを既存の0.33 NA NXEスキャナと0.55 NA EXEスキャナのどちらでも露光でき、ウエハーは相互に置換可能)で、歩留まりは既存NXE EUVプラットフォームと同等とされています〔⑩〕。
技術的な意味は、開口数(NA)を0.33から0.55へ上げることで、これまで多重露光(マルチパターニング)が必要だった最微細レイヤーを単一露光で処理できる点にあります。7nm世代ではDUV多重露光が最大34工程を要したのに対し、EUVでは9工程で済むとされます〔⑱〕。
会社は2026年にHigh NA EUVを4〜5台売上計上する計画です〔⑤〕。2025年通期では、顧客のR&D施設に出荷された0.55 NA機4台分の売上を計上しました〔⑧〕。第4四半期(2025年)にはHigh NA 2台分の売上が含まれています〔⑦〕。
✅ プラス材料:ASML自身のロードマップ上、High NA EUVはASMLだけが供給できる製品カテゴリです。1台あたりの価格は3.8〜4億ドル規模と報じられており〔㉑〕、台数が少なくても売上・粗利率への寄与は大きくなります。ただし2026年時点では通期売上430〜450億ユーロのうち数%規模にとどまる見込みです(4〜5台×約4億ドルは概算で16〜20億ドル=14〜17億ユーロ相当。本レポートによる概算)。
材料5:インストールドベース管理売上が粗利率のエンジンになっている信頼度 高
インストールドベース管理売上(ネットのサービス売上+フィールドオプション売上)の四半期推移は次のとおりです〔②③〕。
| 四半期 | インストールドベース管理売上(百万ユーロ) | 総売上に対する比率 |
|---|---|---|
| 2025年第2四半期 | 2,095.6 | 27.2% |
| 2025年第3四半期 | 1,962.2 | 26.1% |
| 2025年第4四半期 | 2,134.1 | 22.0% |
| 2026年第1四半期 | 2,487.5 | 28.4% |
| 2026年第2四半期 | 2,761.7 | 29.6% |
第2四半期は会社ガイダンスを約300百万ユーロ上回り、これが粗利率54.0%(ガイダンス51〜52%)の主因と説明されています〔①⑤〕。第3四半期ガイダンスの粗利率55〜57%も、約2,900百万ユーロのインストールドベース管理売上を前提としています〔③〕。
会社は「アップグレード・ポートフォリオを大幅に拡張し続けている」と述べており〔①〕、既設機のアップグレードは新規装置よりも粗利率が高い構造です。2025年通期でも、NXE:3800Eのフィールドアップグレードを多数実施した結果、EUVシステム売上の相当部分がインストールドベース売上に振り替わったと開示されています〔⑧〕。
材料6:現金還元が拡大している信頼度 高
- 自己株式取得:2026〜2028年に最大120億ユーロの新プログラム(2026年01月28日開始、2028年12月31日までに執行)〔⑦〕。2026年第1四半期に約1,000百万ユーロ、第2四半期に約1,077.5百万ユーロ(約0.8百万株)を取得〔①②③〕。上期合計2,077.5百万ユーロ。
- 配当:2025年通期の配当は1株あたり7.50ユーロ(前年比+17%)。2026年の第1四半期中間配当は1株1.88ユーロで2026年08月05日支払い〔①⑦〕。上期の配当支払額は1,655.5百万ユーロ〔②〕。
- 2025年通期の株主還元総額は85億ユーロと開示されています〔⑧〕。
📝 留意:発行済かつ流通株式数は2025年01月01日の393.3百万株から2026年06月28日の384.1百万株へ、1年半で2.3%減少しています〔④⑧〕。1株当たり指標の押し上げ要因ですが、還元原資は営業キャッシュフローの振幅が大きい(材料7の留意参照)。
材料7:中国依存の低下が規制リスクのボラティリティを下げる信頼度 中〜高
Form 20-Fのリスク要因は「中国の顧客は2025年の総売上の29.1%、2024年の36.1%を占めた」と開示しています〔⑧〕。地域別売上(出荷先ベース)でも2025年は中国9,519.7百万ユーロ=総売上の29.1%で、台湾8,337.9百万ユーロ(25.5%)・韓国8,159.6百万ユーロ(25.0%)・米国4,089.1百万ユーロ(12.5%)と続きます〔⑧〕。
会社は2026年通期の中国比率を約20%と見込んでいます〔⑤〕。中国比率の低下は、輸出規制の変更が業績に与える感応度を機械的に下げます。
⚠️ リスク:ただしこれは「規制が現状のままなら」という前提付きです。米議会のMATCH ActはイマージョンDUVの新規輸出だけでなく保守・技術支援まで対象に含むとされ、既設機の稼働にも影響し得ます〔⑲㉘〕。詳細は第4部4-1。
第2部:警戒すべきリスク
リスク1:実績ベースのバリュエーションが歴史的な水準にある信頼度 高
2026年08月21日終値1,506.00ユーロと直近4四半期(TTM)実績から本レポートが自計算した倍率は次のとおりです(計算式は「会社情報」参照)。
- PER 54.66倍(TTM希薄化後EPS 27.55ユーロ)
- PSR 16.37倍(TTM売上35,327.5百万ユーロ)
- PBR 26.50倍(2026年06月28日時点の株主資本21,825.4百万ユーロ)
- ROE 48.74%(期末資本ベース)
NASDAQに上場するニューヨーク登録株式の同日終値は1,763.76ドル、52週レンジは716.20〜1,999.96ドル、同サイト表示の時価総額は675.21十億ドルです〔⑭〕。アムステルダムの普通株とニューヨーク登録株式は同一の株式であり、価格差はECB参照レート1ユーロ=1.1699ドルで概ね説明できます(1,506.00×1.1699=1,761.9ドル、実際の終値との差は0.11%)〔⑯〕。
GuruFocusは2026年08月10日時点で、株価1,740.99ドルがGF Value 1,196.15ドルを45.5%上回る割高水準であり、TTM PER 54.41倍は5年中位の39.25倍を大きく超えると指摘しています。同社のスコアは総合91/100(収益性10/10・成長10/10)ながら、バリュエーションだけが3/10です〔⑰〕。
一方で市場コンセンサスは強気に振れています。stockanalysis.comの集計では44名のアナリストの平均レーティングが「Strong Buy」、平均目標株価は2,001.14ユーロ(08月24日時点の株価から+32.98%)です〔⑬〕。同サイトの予想PERは30.93倍で、実績54.69倍との差が「将来の利益成長をどこまで織り込んでいるか」の幅を示しています〔⑬〕。
⚠️ リスク:予想PERは推定利益の前提次第で大きく動きます。本レポートが会社の通期ガイダンス中央値から独自に推計した2026年通期の純利益は約15,136百万ユーロ(希薄化後EPS約39.5ユーロ、予想PER約38.2倍。推計の導出式は「決算速報」の脚注に記載)で、上記30.93倍とは前提年度が異なる可能性があります。
リスク2:上方修正を検証する外部の物差しが失われた信頼度 高
ASMLは2026年第1四半期をもって四半期の純受注(net bookings)の開示を打ち切りました。理由は「大口受注が不均等に到来するため、基調的なモメンタムの読み取りを歪めうる」というものです〔⑫〕。受注残の開示は年1回になりました。
最後に開示された数字は次のとおりです〔⑦〕。
- 2025年第4四半期の純受注:13,158百万ユーロ(うちEUV 7,400百万ユーロ)
- 2025年通期の純受注(四半期の単純合計):28,035百万ユーロ
- 2025年末の受注残:38,797百万ユーロ(2024年末35,938百万ユーロ)
2025年末の受注残は同年の総売上32,667.3百万ユーロの1.19倍にあたります〔⑦⑧〕。第1四半期以降、会社は受注動向を「非常に強い」「上期を通じて極めて強いまま」といった定性表現でのみ説明しています〔①⑥〕。
⚠️ リスク:通期見通しが1四半期で70億ユーロ引き上げられた一方、その裏付けとなる受注の数字を四半期ごとに突合できません。次の検証点は2027年01月の2026年通期決算で開示される年末受注残です。
リスク3:中国・輸出規制信頼度 高
- ASMLはEUVを中国へ一度も輸出していません。イマージョンDUV(NXT:2100i、2050i、2000i、1970i、1980i等)はオランダの輸出許可が必要です〔㉘〕。
- 2026年04月02日、米下院で超党派のMATCH Act(Multilateral Alignment of Technology Controls on Hardware Act)が提出され、可決されればASMLのイマージョンDUVも中国向けに禁止対象となり得ます〔㉘〕。同法案は04月22日に下院外交委員会を通過し、上院にもS.4281として提出されています。イマージョンDUVに関する条項は新規輸出だけでなく保守・技術支援も対象とされ、既設機の稼働にも及びます〔⑲〕。
- 別途、H.R.8170はSMIC・華虹(Hua Hong)・CXMT・ファーウェイ・YMTCを法律上の規制対象事業体に指定します〔⑲〕。
- 影響の試算:Quilter Cheviotのベン・バリンジャー氏は「対象となる旧世代の露光装置は全社売上の10〜15%程度、そのうち中国が約50%なので、影響は約5%程度になる」とCNBCに述べています。ODDO BHFのステファン・ウリ氏は「広範なDUV禁止はASMLの業績にボラティリティをもたらし、施行前の短期受注を押し上げる一方で中期的には業績を圧迫する」と指摘しました〔㉘〕。
- 米商務省のAffiliates Rule(Entity List企業が50%以上保有する事業体への拡大適用)と中国のレアアース輸出規制は、いずれも米中の通商合意により2026年11月10日まで適用停止中です〔⑧〕。ASMLはAffiliates Ruleについて「現時点で事業に影響はない」としています〔⑧〕。
⚠️ リスク:2026年11月10日という同一期日に、米側の規制拡大と中国側の対抗措置の両方の停止期限が来ます。延長されるかどうかが第4四半期の不確実性です。
リスク4:通期見通しの達成が第4四半期に極端に依存している信頼度 高本レポート自計算
第1部の材料1のとおり、通期430〜450億ユーロの達成には第4四半期に12,906.6〜15,906.6百万ユーロ(中央値14,406.6百万ユーロ)が必要です。中央値は前年同期比+48.2%、上期2四半期の合計(18,093.4百万ユーロ)の79.6%にあたります。
四半期売上の実績最高は2025年第4四半期の9,718.1百万ユーロですから〔②〕、中央値のシナリオは過去最高を48%上回る四半期を意味します。装置の売上計上は出荷・据付・検収のタイミングに左右されるため、数台単位のずれが数億ユーロの振れになります。
リスク5:キャッシュフローの振幅が極端に大きい信頼度 高
四半期の営業キャッシュフローは次のとおりです〔②③〕。
| 四半期 | 営業CF(百万ユーロ) | フリーCF(百万ユーロ) |
|---|---|---|
| 2025年第2四半期 | 747.7 | 319 |
| 2025年第3四半期 | 559.1 | 244 |
| 2025年第4四半期 | 11,410.3 | 10,940 |
| 2026年第1四半期 | −2,185.6 | −2,608 |
| 2026年第2四半期 | 1,703.0 | 1,317 |
2025年第4四半期から2026年第1四半期の1四半期で、営業キャッシュフローは13,595.9百万ユーロ振れました(本レポート自計算)。原因は運転資本の変動で、2025年第4四半期に「資産・負債の増減」が+7,640.7百万ユーロ、2026年第1四半期に−5,158.1百万ユーロ計上されています〔②〕。顧客からの前受金(契約負債)の入出が主因です。
📝 留意:TTMの営業キャッシュフローは11,486.8百万ユーロで、TTM純利益10,638.4百万ユーロを上回ります(本レポート自計算)。年間で見れば健全ですが、四半期単位のキャッシュフローは業績の代理指標として使えません。
リスク6:需給の反転(AI設備投資のピーク論)信頼度 中〜高
2026年07月28日から29日にかけて、世界で最も時価総額の大きい半導体株20社が1.3兆ドルの時価総額を失いました〔㉙〕。エヌビディアが2,380億ドル、SKハイニックスが1,760億ドル、サムスン電子が1,730億ドル、TSMCが1,190億ドル、マイクロンが1,130億ドル、AMDが約1,100億ドルの減少です。フィラデルフィア半導体指数(SOX)は直近12か月で+92%だったのに対し、直近1か月で約20%下落しました〔㉙〕。
モーニングスターのマイケル・フィールド氏は「この下げは主にファンダメンタルズではなくセンチメントによるもの。要するに信頼の喪失だ」、フォレスターのチャーリー・ダイ氏は「AI需要の弱まりよりも、極めて強い上昇の後の期待値の再評価だ」とコメントしています〔㉙〕。
ASML株はこの調整局面で07月16日の1,598.40ユーロから08月21日の1,506.00ユーロへ−5.78%下げましたが、同期間の他の半導体大型株よりは小幅でした〔⑮㉙〕。
テールリスク
- カール・ツァイスSMTへの単一供給依存:EUVの投影光学系はカール・ツァイスSMTが供給します。ASMLは同社に持分法投資を保有し、その簿価は2026年06月28日時点で985.8百万ユーロです〔②〕。Hyper-NA(0.75 NA)の投影系も同社で開発中と報じられています〔⑱〕。単一供給者に依存する構造は、ロードマップ全体のボトルネックになり得ます。
- 中国の国産イマージョンDUV:上海の国有企業が2026年に約5台、2027年に約20台の国産イマージョンDUV生産を目指していると報じられています(第3部3-3)〔⑲⑳〕。現時点では性能で1世代遅れとされますが、中長期の代替リスクです。
- 訴訟:Form 20-Fは2025年12月31日時点で「発生可能性が高い、または合理的に可能性があると考えられる重要な偶発債務はない」と記載しています〔⑧〕。現時点で開示された重要な係争はありません。
- アイントホーフェン新キャンパスの社会的摩擦:2026年03月11日、アイントホーフェン市議会がASMLの大型キャンパス拡張を承認しました。ASML分で2万人の雇用が生まれる計画ですが、住宅不足・住宅価格の上昇・交通・医療への負荷を理由に一部政党・団体が反対しています。着工は2026年夏前、最初の従業員の入居は2028年初めの予定です〔㉜〕。
第3部:競合・技術地図(補完調査)
本部は単独の補完調査によるもので、第1部・第2部より検証の厳格さが一段劣ります(詳細は「調査上の留意点」)。
3-1. 露光装置市場の構造 — 「代替がない」の中身信頼度 中〜高
ASMLはEUV露光装置を唯一供給する企業で、露光装置市場全体でも約83%のシェアを持つと報じられています〔⑱〕。2025年の出荷はイマージョンDUV 131台・EUV 48台で、通期売上326.7億ユーロ(32,667.3百万ユーロ)・年末受注残388.0億ユーロ(38,797百万ユーロ)という規模です〔⑱〕。
ただし「代替がない」は露光機だけの話ではありません。同じ報道は周辺の寡占構造も整理しています〔⑳〕。
- コータ/デベロッパ(トラック):東京エレクトロンが2022年時点で世界シェア89%(Shared Researchによる同社開示の分析)。同社CEOは「約90%、EUV向けでは100%」と述べている。露光機とトラックは機械的・熱的に整合させて1つのクラスタとして導入されるため、両者はセットで購入される。
- ArFフォトレジスト:JSR・東京応化工業・信越化学・富士フイルムの4社で合計72.5%。中国勢のArFイマージョン用レジストのシェアは1%未満。
- ArFエキシマレーザー光源:Cymer(ASML子会社)・ギガフォトン・コヒレントの3社で80%超。
📝 評価:ASMLの「独占」は単体の技術優位だけでなく、日本勢を含む寡占サプライヤ群との密結合の上に成り立っています。この構造は参入障壁として働く一方、いずれか1社の供給制約がASMLの出荷計画に直結する脆弱性も意味します。
3-2. ロードマップ — 0.33 NA → 0.55 NA → 0.75 NA信頼度 中〜高
- DUVイマージョン:現在も量産の主力。TWINSCAN NXT:2100iは1.35 NA・毎時295枚・オーバーレイ1.3nmと報じられています〔⑱〕。TSMCの3nmでもEUVを使うのは一部の重要レイヤーのみで、パターニング工程の多数はイマージョンDUVで処理されます〔⑱〕。
- low-NA EUV(0.33 NA):5nm・3nm世代を可能にした主力。2026年の能力は約65台で、2027年に+30%〔①⑤〕。
- High NA EUV(0.55 NA):2026年07月にIntelの18Aで量産採用(材料4)〔⑩〕。Intelは2024年にオレゴン州ヒルズボロのR&D施設へ初期の商用機TWINSCAN EXE:5000を設置し、その後第2世代のEXE:5200Bを最初にクオリファイしました〔⑩〕。ベルギーの研究機関imecも2026年03月にEXE:5200を受領し、2026年第4四半期のクオリフィケーションを目標としています〔㉑〕。
- Hyper-NA(0.75 NA):2030年代に向けた実現可能性検討段階と報じられています〔⑱〕。
📝 評価:High NA EUVは「量産に入った」段階で、2026年の売上計上は4〜5台の計画〔⑤〕。ロードマップの主力は当面low-NA EUVとイマージョンDUVであり、High NAは2027〜2028年の本格立ち上げが焦点になります。
3-3. 中国の国産化 — 進捗と距離信頼度 中単一ソース起点の報道を含む
2026年07月27日、上海の国有系企業がイマージョンDUV露光装置の量産を開始し、SMIC・華虹・CXMTへ最初の納入を予定していると報じられました(The Informationが2名の関係者を引用、Tom’s Hardwareが二次報道)〔⑲〕。生産目標は2026年に約5台、2027年に約20台です。部品の多くは国産化されているものの、一部の重要部品は日本から調達しており、国内サプライヤの遅延が生産のボトルネックになっているとされます〔⑲〕。
その3日後、ロイターが製造主体を上海愛升娜(Shanghai Aishengna Electronic Technology Group)と特定したと報じられました〔⑳〕。2023年08月設立、登録資本70億人民元(約10億ドル)、上海微電子装備(SMEE)と上海宇量昇(Shanghai Yuliangsheng)から技術陣を吸収したとみられています。ただしこの社名の特定は匿名の単一ソースによるもので、SMEEと宇量昇はコメントを拒否しています〔⑳〕。SMICは2025年09月から宇量昇のイマージョン機を試験しています〔⑳〕。
性能面では、スループット・オーバーレイ精度・長期信頼性のいずれもASML機に対して概ね1世代遅れと評価されています。またトラック側でも瀋陽芯源(Shenyang Kingsemi)が28nm級に到達し14nmを目標にしている段階です〔⑳〕。
⚠️ リスク:2026年5台・2027年20台という規模は、ASMLの年間130台のイマージョン出荷に対しては小さい。ただし規制で中国市場が閉ざされた場合、その市場が国産機に置き換わる形になります。数字はいずれも報道ベース(単一ソース起点)で、公式開示に基づくものではありません。
3-4. WFEピア5社との定量比較信頼度 高金融データサイトの集計値
2026年08月21日終値(東京市場・アムステルダム市場は08月24日の直近値)ベースの各社TTM実績です〔⑬㉒㉓㉔㉕㉖㉗〕。
| 会社(コード) | TTM売上 | TTM売上成長率 | PER | 時価総額 |
|---|---|---|---|---|
| ASML(AMS:ASML) | 353.3億ユーロ | +9.8% | 54.66倍(自計算) | 5,785億ユーロ |
| アプライドマテリアルズ(AMAT) | 308.4億ドル | +7.8% | 42.47倍 | 3,907億ドル |
| ラムリサーチ(LRCX) | 232.3億ドル | +26.0% | 54.51倍 | 3,929億ドル |
| KLA(KLAC) | 135.8億ドル | +11.7% | 50.27倍 | 2,404億ドル |
| 東京エレクトロン(8035) | 2.63兆円 | +8.3% | 40.08倍 | 24.68兆円 |
| ASMインターナショナル(AMS:ASM) | 33.6億ユーロ | +3.1% | 37.97倍 | 407億ユーロ |
| ニコン(7731) | 6,832億円 | −3.7% | 算出不可(TTM純損失942.7億円) | 6,615億円 |
📝 評価:ASMLのTTM売上成長率+9.8%はこの集合の中位で、ラムリサーチの+26.0%を大きく下回ります。にもかかわらずPSR 16.37倍はこの集合で最も高い水準です。理由は成長率の絶対値ではなく、代替不能性(EUVの単独供給)と2027年以降の可視性(受注で埋まった能力枠)に対する評価だと解釈できます。TTM指標は2025年後半の緩い四半期を含むため、変曲点を捉えきれていない点にも留意が必要です。
第4部:政策・市況・懐疑論(補完調査)
本部も単独の補完調査によるもので、第1部・第2部より検証の厳格さが一段劣ります。
4-1. 輸出規制の現状整理信頼度 高
オランダ・EU:2023年のオランダの国内輸出管理措置により、特定のイマージョンDUV装置の輸出にはオランダ税関(CDIU)の許可が必要です〔㉘〕。2025年11月にはEUがこのオランダの国内管理の一部をEUの規制品目リストに取り込み、全EU加盟国に適用範囲を拡大しました〔⑧〕。
米国:Form 20-Fは「オランダ・米国その他の適用法の下で、EUV装置・特定のイマージョンDUV装置・その他一部製品について輸出許可の取得が必要」と開示しています。加えて米国は特定の中国事業体との取引に許可を求める措置、米国原産品目の販売・移転の許可要件、中国の先端ノードFabに対する米国人による支援の制限を導入済みです〔⑧〕。
MATCH Act:2026年04月02日提出(マイケル・バウムガートナー下院議員が主導)。04月22日に下院外交委員会を通過、上院にS.4281として提出済み〔⑲㉘〕。イマージョンDUVについては新規輸出に加えて保守・技術支援も対象範囲とされ、中国のFabで稼働中の既設機にも及びます〔⑲〕。
停止中の措置:Affiliates Rule(2025年に米商務省が導入、Entity List企業が50%以上保有する事業体へ拡大)と中国のレアアース輸出規制は、いずれも米中通商合意により2026年11月10日まで適用停止です〔⑧〕。
⚠️ リスク:法案の帰趨は不確実ですが、可決された場合の影響はQuilter Cheviotの試算で売上の約5%程度〔㉘〕。ASML自身も「2026年ガイダンスのレンジ幅は、進行中の輸出管理の議論の帰結を吸収できるように設定した」と第1四半期決算で明言しています〔⑥〕。
4-2. 中国比率の「帰属」— 29.1%か33%か信頼度 高
報道では「2025年の中国比率33%」という数字も流通していますが〔㉘〕、ASMLのForm 20-F開示は総売上ベースで29.1%です〔⑧〕。地域別売上表からの計算も29.1%で一致します(9,519.7÷32,667.3)。差の理由は分母の定義(総売上か、システム売上のみか)にあると考えられます。
2024年は36.1%(10,195.1÷28,262.9)で、1年で7.0ポイント低下しました〔⑧〕。なお2024年については、中国の顧客がASMLのイマージョンDUV出荷の推定70%を購入し、オランダの輸出規制の強化前に在庫を積んだと報じられています〔⑱〕。
📝 評価:本レポートは29.1%(Form 20-F開示・総売上ベース)を採用します。2026年の約20%という見通しは会社の投資家向け説明によるもので、期初の受注残構成に基づく想定です〔⑤⑫〕。
4-3. メモリ設備投資の「鮮度」問題信頼度 中
ASMLは2026年通期のメモリ関連システム売上を+75%超と見込みます〔⑤〕。一方、TrendForceが2025年11月13日に公表した予測は、DRAMの設備投資が2025年537億ドル→2026年613億ドル(+約14%)と、はるかに保守的でした〔㉚〕。同レポートは「重点が能力拡張からプロセス技術のアップグレード、積層数の増加、ハイブリッドボンディング、HBMのような高付加価値品へ移る」「DRAM業界のクリーンルーム能力は限られており、追加のCapExがビット供給に与える影響は2026年には小さい」としています〔㉚〕。
📝 評価:2つの数字は矛盾しません。TrendForceは設備投資額(全装置合計)、ASMLは自社の露光装置売上を語っており、露光工程の「レイヤー数の増加(露光強度の上昇)」は設備投資額の伸びを上回って露光装置売上を押し上げ得ます。ASML自身も「先端ロジックとメモリのプロセスで、必要となるクリティカルな露光回数が増えると想定している」と開示しています〔①〕。ただしTrendForceの数字は2025年11月時点の予測であり、ASMLの2026年07月時点の見通しとは9か月の時点差があります。より新しい第三者集計との突合は本レポートでは未取得です。
4-4. バリュエーションと懐疑論信頼度 高
GuruFocus(2026年08月10日)の指摘は次のとおりです〔⑰〕。
- 株価1,740.99ドルはGF Value 1,196.15ドルを45.5%上回る
- TTM PER 54.41倍は5年中位の39.25倍を大きく上回る
- GF Score 91/100(収益性10/10・成長10/10・財務健全性7/10・バリュエーション3/10・モメンタム6/10)
- 22名のプレミアム・グル(機関投資家)が保有し、直近では14名が買い増し・10名が減らした
- インサイダーの売買は過去3か月・12か月ともゼロ
同社は「ASMLは露光装置でおよそ90%のシェアを持ち、TSMC・サムスン・インテル・SKハイニックス・マイクロンに供給する」と記述しています〔⑰〕。この「約90%」は前掲の「約83%」〔⑱〕と食い違いますが、いずれも第三者の推計であり、ASML自身はシェアの数値を開示していません。
📝 評価:バリュエーションの割高判定は「実績(TTM)」を分母に置いた判定です。会社ガイダンスに基づく予想ベースでは倍率は大きく下がります(本レポートの推計で約38.2倍、stockanalysis.comの集計で30.93倍)〔⑬〕。どちらが妥当かは、第4四半期の逆算売上(リスク4)が実現するかに依存します。
4-5. Mistral AIへの出資 — 露光装置メーカーがAI企業の筆頭株主になった信頼度 高
2025年09月、ASMLはフランスのMistral AIに13億ユーロ(約15億ドル)を出資し、完全希薄化ベースで約11%を保有する筆頭株主になりました〔⑧㉛〕。出資はMistralの17億ユーロ調達ラウンドの一部で、同社の評価額は117億ユーロ(出資前100億ユーロ)となり、欧州で最も価値の高いAI企業になりました〔㉛〕。ASMLのCFOロジャー・ダッセン氏がMistralの戦略委員会の議席を得ています〔㉛〕。同ラウンドにはDST Global、仏政府系Bpifrance、アンドリーセン・ホロウィッツ、エヌビディア、Index Ventures、Lightspeedも参加しました〔㉛〕。
ASMLは20-Fで「AIモデルを製品ポートフォリオ全体、および研究開発・オペレーションに活用する長期的な協業の基礎を築いた」と説明しています〔⑧〕。キャッシュフロー計算書では2025年第3四半期に「持分投資の取得 1,210.0百万ユーロ」が計上されています〔②〕。
📝 留意:この出資はUS GAAPの貸借対照表では「持分投資(Equity investments)」1,324.9百万ユーロ(2026年06月28日)として簿価計上されていますが、IFRSの貸借対照表では同じ項目が1,740.9百万ユーロで、差額は416.0百万ユーロです〔②④〕。IFRSでは公正価値評価差額がその他の包括利益(OCI)に計上されるためで、US GAAPの損益計算書にも貸借対照表にもこの含み益は現れません。
監視ポイント(チェックリスト)
| # | 監視項目 | 確認手段 | シグナル |
|---|---|---|---|
| 1 | 2026年第3四半期の売上(会社ガイダンス11,000〜12,000百万ユーロ) | 2026年10月14日予定の決算発表(asml.com/SEC Form 6-K) | 上限超え=通期430〜450億ユーロの上振れ、下限割れ=通期見通しの再考 |
| 2 | 逆算第4四半期売上(12,906.6〜15,906.6百万ユーロ) | 第3四半期実績が出た時点で「通期見通し−上期実績−第3四半期実績」を再計算 | 逆算値が14,000百万ユーロを超えたまま=達成難度が上昇、通期見通しの下方修正リスク |
| 3 | 年末受注残(2025年末387.97億ユーロ) | 2027年01月予定の2026年通期決算(年1回のみ開示) | 前年超え=2027年の可視性維持、前年割れ=受注の一巡 |
| 4 | 粗利率(第3四半期ガイダンス55〜57%) | 四半期決算のUS GAAP財務諸表 | 上限側=インストールドベース売上とアップグレードの寄与、下限割れ=能力増強コストの先行 |
| 5 | High NA EUVの売上計上台数(2026年通期で4〜5台の会社計画) | 四半期決算のCEO/CFOコメント、投資家向けプレゼンテーション | 計画どおり=量産移行の確認、下振れ=2027〜2028年の立ち上げ遅延 |
| 6 | 2027年low-NA EUV能力(約65台+30%)の受注消化 | 投資家向け説明での「fully covered with orders」表現の更新 | 2028年分の受注積み上がり=可視性の延伸、表現の後退=需要のピークアウト |
| 7 | 中国比率(会社見通し約20%/2025年実績29.1%) | 四半期の投資家向けプレゼンテーション、年次のForm 20-F地域別売上 | 20%を大きく上回る=規制前の駆け込みの可能性、大きく下回る=規制の実効化 |
| 8 | MATCH Act(H.R.提出済み/S.4281)の立法進捗 | 米議会の審議状況、ASMLの適時開示 | 本会議可決=売上約5%相当のリスク顕在化(Quilter Cheviot試算)、審議停滞=オーバーハングの解消 |
| 9 | Affiliates Ruleおよび中国レアアース規制の停止期限(2026年11月10日) | 米商務省・中国商務部の発表 | 延長=現状維持、失効=サプライチェーンと顧客の双方に新たな制約 |
引用記事一覧
第1部・第2部(メインリサーチ)
第3部(競合・技術地図/補完調査)
| # | 記事 | 発行元・日付 |
|---|---|---|
| ⑱ | ASML’s roadmap for chipmaking lithography tools examined — from DUV to Low-NA, High-NA, Hyper-NA, and beyond | Tom’s Hardware・2026/5/1 |
| ⑲ | China begins mass production of homegrown immersion chipmaking machines in major breakthrough, report claims | Tom’s Hardware・2026/7/27 |
| ⑳ | Shanghai Aishengna named as the maker of China’s first domestic immersion DUV chipmaking tools | Tom’s Hardware・2026/7/30 |
| ㉑ | imec Secures ASML’s Most Advanced EXE:5200 High-NA EUV for Sub-2nm; 4Q26 Qualification Target | TrendForce・2026/3/19 |
| ㉒ | Nikon Corporation (TYO:7731) — 株価・主要指標 | stockanalysis.com・2026/8/24取得 |
| ㉓ | ASM International NV (AMS:ASM) — 株価・主要指標 | stockanalysis.com・2026/8/24取得 |
| ㉔ | Applied Materials (AMAT) — 株価・主要指標 | stockanalysis.com・2026/8/24取得 |
| ㉕ | Lam Research (LRCX) — 株価・主要指標 | stockanalysis.com・2026/8/24取得 |
| ㉖ | Tokyo Electron (TYO:8035) — 株価・主要指標 | stockanalysis.com・2026/8/24取得 |
| ㉗ | KLA Corporation (KLAC) — 株価・主要指標 | stockanalysis.com・2026/8/24取得 |
第4部(政策・市況・懐疑論/補完調査)
| # | 記事 | 発行元・日付 |
|---|---|---|
| ㉘ | ASML shares fall after proposed U.S. export curbs target an already fragile China market | CNBC・2026/4/7 |
| ㉙ | Chip stocks shed more than $1 trillion as selloff hits companies powering AI boom | CNBC・2026/7/28(2026/7/29更新) |
| ㉚ | Memory Industry to Maintain Cautious CapEx in 2026, with Limited Impact on Bit Supply Growth, Says TrendForce | TrendForce・2025/11/13 |
| ㉛ | ASML Invests In Mistral AI At $13.7bn Valuation | Silicon UK・2025/9/10 |
| ㉜ | ASML gets green light for new campus creating 20,000 jobs | DutchNews.nl・2026/3/11 |
会社情報
ASML Holding N.V.(ASMLホールディング)
- 証券取引所/銘柄コード:ユーロネクスト・アムステルダム / ASML(ISIN:NL0010273215)、NASDAQ / ASML(ニューヨーク登録株式)
- 業種:半導体製造装置(露光装置・ホリスティックリソグラフィ)
- 従業員数:約43,938人(2026年06月28日時点・正規雇用FTE。臨時雇用696FTEを含めると44,634FTE。出典:Financial Statements US GAAP Q2 2026)
- 本社:オランダ・フェルトホーフェン
- 時価総額(百万ユーロ):578,455(約5,785億ユーロ)
- 売上高(百万ユーロ・TTM):35,327.5(TTM=直近4四半期合計)
- 企業価値(EV)(百万ユーロ):574,593(時価総額578,455+有利子負債3,719.7−現金及び短期投資7,581.5)
- 当期純利益(百万ユーロ・TTM):10,638.4(US GAAP)
- EBITDA(百万ユーロ・TTM):13,549.5(営業利益12,513.4+減価償却費及び償却費1,036.1)
決算日(四半期ごと)
- 第1四半期(1Q):3月(直近実績2026年03月29日締め・決算発表2026年04月15日)
- 第2四半期(2Q):6月(直近実績2026年06月28日締め・決算発表2026年07月15日)
- 第3四半期(3Q):9月(直近実績2025年09月28日締め。2026年3Qの決算発表は2026年10月14日予定)
- 第4四半期(4Q):12月31日固定(直近実績2025年12月31日締め・決算発表2026年01月28日)
※ASMLの四半期は日曜日締めで、第4四半期のみ12月31日固定のため週数が変則になります。
事業内容
半導体の回路パターンを転写する露光装置(リソグラフィ・システム)の世界最大手。極端紫外線(EUV)露光装置を供給できる唯一の企業で、深紫外線(DUV)イマージョン装置、メトロロジー・検査装置、およびそれらを統合した「ホリスティックリソグラフィ」のソフトウェア・サービスを提供する。売上は新規システム販売(2026年第2四半期6,564.8百万ユーロ)とインストールドベース管理(サービス+フィールドオプション。同2,761.7百万ユーロ)の2本立て。現在の成長ドライバーはAIインフラ向けの先端ロジックとメモリ(HBM/DRAM)の能力増強であり、2026年通期ではメモリ関連システム売上が+75%超、EUVシステム売上が+45%超の伸びを見込む。
財務指標(実績)
- 粗利益率(%):52.73
- ROE(%):48.74
- 株価売上高倍率:16.37
- PER(倍):54.66
- PBR(倍):26.50
※2026年06月28日締め(2026年第2四半期)までの直近4四半期(TTM)の実績データを基に算出しています。
※株価は、2026年08月21日の終値(1,506.00ユーロ・ユーロネクスト・アムステルダム)を用いています。
※計算式:時価総額=1,506.00ユーロ×384.1百万株=578,455百万ユーロ/PER=1,506.00÷27.55(TTM希薄化後EPS)/PSR=578,455÷35,327.5/PBR=578,455÷21,825.4(2026年06月28日時点の株主資本)/ROE=10,638.4÷21,825.4×100(期末資本ベース)/粗利益率=18,629.3÷35,327.5×100(52.73%)。
※株式数は2026年06月28日時点の発行済かつ流通株式数384.1百万株(法定中間報告書の持分変動計算書)を使用しています。金融データサイトの表示は384.05〜384.10百万株、時価総額578.38十億ユーロ(同サイトの株価基準は08月24日の1,504.80ユーロ)で、本レポートの自計算値578,455百万ユーロとの差は0.02%以内です。同サイトのPER表示54.69倍に対し本レポートは54.66倍(株価が1,506.00ユーロと1,504.80ユーロで異なるため)。
※TTM希薄化後EPS 27.55ユーロは四半期開示値の単純合計(5.48+7.34+7.15+7.58)。金融データサイトのTTM EPS表示は27.54ユーロで、0.01ユーロの差は四半期値の丸めによるものです。
※有利子負債3,719.7百万ユーロは、長期債務1,984.4百万ユーロ(US GAAP貸借対照表)と短期借入金及び長期債務の1年内返済分1,735.3百万ユーロ(法定中間報告書のIFRS財政状態計算書)の合計です。US GAAPの要約貸借対照表は流動負債を一括表示しており内訳を開示していないため、負債の分類が両基準で同一である点を確認した上でIFRS開示の内訳を使用しています。
※EBITDAはTTM営業利益12,513.4百万ユーロ+TTM減価償却費及び償却費1,036.1百万ユーロ(274.6+255.2+259.4+246.9)。ASMLはEBITDAを開示していないため本レポートの計算値です。
※ROEは期末資本ベースです。株主資本は自己株式取得(上期2,077.5百万ユーロ)と配当(同1,655.5百万ユーロ)で圧縮される一方で利益が積み上がるため、平均資本ベースのROEはこれより低くなります。
1株当たりデータ
- 1株当たり売上高(ユーロ):91.97
- EPS(ユーロ):27.55(TTM・US GAAP希薄化後)
- 1株当たり純資産(ユーロ):56.82
- 1株当たり現金及び短期投資(ユーロ):19.74
- 1株当たりキャッシュフロー(ユーロ):29.91(営業キャッシュフロー・TTM)
- 1株当たり配当(ユーロ):7.52(2026年第1四半期の中間配当1.88ユーロ×4の年率換算)
※2026年06月の実績データを基に算出しています(1株当たり売上高・純資産・現金・キャッシュフローは発行済かつ流通株式数384.1百万株ベース、EPSは四半期開示の希薄化後EPSの合計)。
※参考:2025年通期の配当実績は1株7.50ユーロ(前年比+17%)。ASMLは年3回の中間配当と期末配当を組み合わせる方式で、2026年の第1四半期中間配当1.88ユーロは2026年08月05日に支払われました。年率換算7.52ユーロは配当政策の予告ではありません。
※参考(ドル換算):ECBの2026年08月21日の参照為替レートは1ユーロ=1.1699ドルです。同レートで時価総額578,455百万ユーロは約676,735百万ドル、TTM売上35,327.5百万ユーロは約41,330百万ドルに相当します。金融データサイトのNASDAQ側表示は時価総額675.21十億ドル・TTM売上40.29十億ドルで〔⑭〕、換算日と株式数の差による小幅な乖離があります。
主要データ出典:Q2 2026 決算プレスリリース(Form 6-K Exhibit 99.1)/Financial Statements US GAAP Q2 2026(Exhibit 99.3)/Statutory Interim Report 2026(Exhibit 99.4)/Annual Report 2025 / Form 20-F/stockanalysis.com(AMS:ASML)/ECB 参照為替レート
決算速報
2026年第2四半期(2026年06月28日締め)実績
ASMLは2026年07月15日、2026年第2四半期の決算を発表しました〔①〕。総売上は9,326.5百万ユーロ(前四半期比+6.4%・前年同期比+21.3%)で、会社ガイダンス8,400〜9,000百万ユーロの上限を上回りました〔①⑥〕。粗利率は54.0%(ガイダンス51〜52%)、営業利益3,456.1百万ユーロ(営業利益率37.1%)、純利益2,917.6百万ユーロ(純利益率31.3%)、希薄化後EPS7.58ユーロ、実効税率17.5%です〔②⑤〕。内訳はシステム売上6,564.8百万ユーロ(うちEUV約3,800百万ユーロ・High NA 1台を含む、非EUV約2,800百万ユーロ)とインストールドベース管理売上2,761.7百万ユーロで、後者はガイダンスを約300百万ユーロ上回り、これが粗利率の上振れの主因と説明されています〔①⑤〕。露光装置の販売台数は91台(前四半期79台)〔②〕。フリーキャッシュフローは1,317百万ユーロ〔③〕。貸借対照表では、現金及び短期投資が7,581.5百万ユーロ(前四半期8,376.3百万ユーロから−794.8百万ユーロ)、売掛金が7,252.6百万ユーロ(同4,402.9百万ユーロから+64.7%)と大きく増加し、在庫は11,739.5百万ユーロでほぼ横ばい、株主資本は21,825.4百万ユーロ(総資産に対する比率43.5%)です〔②〕。
ガイダンスと株価反応
第3四半期のガイダンスは総売上11,000〜12,000百万ユーロ(中央値は前四半期比+23.3%・前年同期比+53.0%)、粗利率55〜57%、研究開発費約1,200百万ユーロ、販管費約400百万ユーロ、インストールドベース管理売上約2,900百万ユーロです〔①③〕。通期見通しは430〜450億ユーロ・粗利率54〜56%・年換算実効税率約17%へ引き上げられました〔①③〕。フーケCEOは「顧客のコミットメントが製品ポートフォリオ全体に及び、より長期の需要に対する可視性が高まっている」「上期を通じて受注は極めて強いままだった」と述べ、2027年のlow NA EUV能力を2026年の約65台から30%積み増し、2028年にさらに30%増やすことを検討していると明らかにしました〔①〕。次回のCapital Markets Dayは2027年06月10日に開催され、そこで長期見通しが更新されます〔①〕。株主還元は、2026年の第1四半期中間配当1.88ユーロ(2026年08月05日支払)と、第2四半期の自己株式取得約1,077.5百万ユーロ(約0.8百万株)です〔①③〕。株価反応は小さく、発表当日(07月15日)のアムステルダム終値は1,549.40ユーロで−0.41%、翌16日が1,598.40ユーロで+3.16%、2営業日合計で+2.74%でした〔⑮〕。
3Q26の売上はガイダンス(11,000〜12,000百万ユーロ)の中央値、純利益は本レポートの推計です。推計の導出:売上中央値11,500×粗利率中央値56.0%=粗利6,440.0−研究開発費1,200(会社見通し)−販管費400(会社見通し)=営業利益4,840.0+支払利息その他30.0(2026年第2四半期実績を据え置き)=税前利益4,870.0×(1−0.17)(会社の年換算実効税率見通し約17%)=4,042.1+持分法投資利益41.1(同)=4,083.2百万ユーロ(希薄化後EPS推計10.61ユーロ=4,083.2÷384.9百万株)。マス数=値÷500の四捨五入です。
※通期(2026年12月期)の純利益推計の導出:売上中央値44,000×粗利率中央値55.0%=粗利24,200−研究開発費4,961.5(上期実績2,461.5+第3四半期1,200〈会社見通し〉+第4四半期1,300〈推計〉)−販管費1,405.0(上期実績605.0+第3四半期400〈会社見通し〉+第4四半期400〈推計〉)=営業利益17,833.5+支払利息その他130.9(上期実績70.9+下期60.0〈推計〉)=税前利益17,964.4×(1−0.17)〈会社の年換算実効税率見通し約17%〉=14,910.5+持分法投資利益225.7(上期実績145.7+下期80.0〈推計〉)=約15,136百万ユーロ。通期の加重平均希薄化後株式数を383.5百万株と想定した希薄化後EPSは約39.5ユーロ、2026年08月21日終値1,506.00ユーロに対する予想PERは約38.2倍です。いずれも本レポートの推計であり、会社は通期の純利益・EPSのガイダンスを提示していません。
| 四半期(期末日) | 売上高(百万ユーロ) | 前四半期比 | US GAAP純利益(百万ユーロ) | 希薄化後EPS(ユーロ) |
|---|---|---|---|---|
| 2025年第2四半期(2025年06月29日) | 7,691.7 | −0.6% | 2,290.3 | 5.90 |
| 2025年第3四半期(2025年09月28日) | 7,516.0 | −2.3% | 2,124.5 | 5.48 |
| 2025年第4四半期(2025年12月31日) | 9,718.1 | +29.3% | 2,839.6 | 7.34 |
| 2026年第1四半期(2026年03月29日) | 8,766.9 | −9.8% | 2,756.7 | 7.15 |
| 2026年第2四半期(2026年06月28日) | 9,326.5 | +6.4% | 2,917.6 | 7.58 |
| 2026年第3四半期(ガイダンス) | 11,500(11,000〜12,000) | +23.3% | 4,083(推計) | 10.61(推計) |
※2025年第2四半期の前四半期比は、2025年通期実績32,667.3百万ユーロから他3四半期を差し引いて算出した2025年第1四半期売上7,741.5百万ユーロを分母に用いた本レポートの計算値です。
※ガイダンス行の売上は会社ガイダンスのレンジ中央値、純利益と希薄化後EPSは上記の導出式による本レポートの推計です。会社は四半期の純利益・EPSのガイダンスを提示していません。
競合比較(5社)
比較元のASMLホールディング(ASML)を★3とした場合の相対評価です(★5つで評価)。評価軸は「主力市場でのシェア」「価格決定力・契約構造」「技術ポジション」「成長テーマへの露出」の4点で、本調査(第1部〜第4部)で確認した事実に基づく定性評価です。投資推奨ではありません。
| 証券取引所/銘柄コード | 会社名 | 企業スコア | 評価の根拠 |
|---|---|---|---|
| ユーロネクスト・アムステルダム、NASDAQ / ASML | ASMLホールディング(比較元) | ★★★☆☆ | EUV露光装置を供給できる唯一の企業で、露光装置市場全体でも約83%のシェアと報じられる〔⑱〕。2027年のlow-NA EUV能力枠は「ほぼ受注で埋まっている」と会社が説明〔⑤〕。TTM売上成長率+9.8%は集合の中位、PSR 16.37倍は集合で最高。 |
| 東証プライム / 7731 | ニコン | ★☆☆☆☆ | ArFイマージョン露光機を供給できる事実上唯一の代替だが、EUVは持たない。TTM売上6,832億円は前年比−3.7%、TTM純損益は942.7億円の赤字でPERは算出不可〔㉒〕。価格決定力・技術ポジションの双方で劣位。 |
| ユーロネクスト・アムステルダム / ASM | ASMインターナショナル | ★★☆☆☆ | 同じオランダの装置メーカーで、ALD(原子層堆積)で高いポジション。TTM売上33.6億ユーロはASMLの約1/10、TTM成長率+3.1%は集合で最低水準。ただしTTM純利益は+103.8%と急回復しPERは37.97倍〔㉓〕。 |
| NASDAQ / AMAT | アプライドマテリアルズ | ★★★☆☆ | TTM売上308.4億ドルで装置売上規模はトップ級、成膜・エッチング・メトロロジーと事業の幅も広い。ただし主要工程はいずれも複数社競合で価格決定力はASMLに劣り、TTM成長率+7.8%は集合で下位〔㉔〕。露光装置には参入していない。 |
| NASDAQ / LRCX | ラムリサーチ | ★★★★☆ | TTM売上成長率+26.0%は集合で最高で、2026年のメモリ投資加速の直接的な受益者〔㉕〕。PER 54.51倍はASMLの54.66倍とほぼ同水準であり、成長率の差(2.7倍)だけ相対的に安い。代替不能性はASMLに劣るが、現局面の弾性では上回る。 |
| 東証プライム / 8035 | 東京エレクトロン | ★★★☆☆ | コータ/デベロッパ(トラック)で2022年時点の世界シェア89%、同社CEOは「約90%、EUV向けは100%」と述べている〔⑳〕。露光機とトラックは1つのクラスタとして導入されるため寡占度はASMLと同格だが、出荷はASMLの露光機出荷計画に従属する。TTM売上2.63兆円(+8.3%)・PER 40.08倍〔㉖〕。 |
※参考:KLA(NASDAQ / KLAC)はTTM売上135.8億ドル(+11.7%)・PER 50.27倍・時価総額2,404億ドル〔㉗〕。検査・計測でASMLのメトロロジー事業と一部競合しますが、露光工程そのものでは競合しないため上表には含めていません。
target bug trends
本セクションは、レポート全体(第1部〜競合比較)の検証済みデータを横断して抽出した「おかしなこと」「飛び抜けたこと」「競合5社と圧倒的に違うこと」を、反証検証を経てから掲載するものです。反証検証の実施日は2026年08月24日、抽出した11論点の判定内訳は支持8・要修正2・棄却1です。投資推奨ではありません。
おかしなこと(アノマリー)
開示の消灯【検証済み】ASMLは2026年第1四半期をもって四半期の純受注(net bookings)の開示を打ち切り、受注残の開示は年1回になりました。理由は「大口受注が不均等に到来するため、基調的なモメンタムの読み取りを歪めうる」というものです〔⑫〕。その同じ年の07月15日に、通期売上見通しは中央値で7,000百万ユーロ(+18.9%)引き上げられました〔①〕。最後に開示された数字は2025年第4四半期の純受注13,158百万ユーロ(うちEUV 7,400百万ユーロ)と2025年末の受注残38,797百万ユーロです〔⑦〕。反証検証の結果、他の装置メーカーの四半期受注開示慣行を一次情報で確認できなかったため、「業界で異例」「前例がない」といった最上級表現は使用していません。確認できるのは「非開示化と大幅上方修正が同じ年に起きた」という時間的一致のみです。
二つの純利益【検証済み】ASMLはUS GAAPとEU-IFRSの両方で財務諸表を作成します。2025年通期の純利益はUS GAAP 9,609.4百万ユーロに対しEU-IFRS 10,213.0百万ユーロでIFRSが6.3%高い〔⑧〕。ところが2026年上期はUS GAAP 5,674.3百万ユーロに対しIFRS 5,235.7百万ユーロで、IFRSが7.7%低いと符号が反転しています〔②④〕。IFRSでは開発費を資産計上して償却するため(IFRS貸借対照表の無形資産4,957.8百万ユーロに対しUS GAAPは589.5百万ユーロ)、計上と償却のどちらが優勢かで差の向きが変わります〔②④〕。同じ会社の同じ期間について、EPSもROEも採用基準で変わります。
1,700人削減と2万人キャンパスと、増えた従業員418人【検証済み】ASMLは2026年01月28日、テクノロジー部門とIT部門の合理化により約1,700ポジション(主にオランダ、一部は米国)を削減すると発表しました〔⑦⑨〕。これは2025年12月31日時点の正規従業員43,520FTEの3.9%に相当します(本レポート計算)。同社は同時に「既存の技術プロジェクトを強化する新たなエンジニアリング職を創出する」とも述べています〔⑨〕。2026年03月11日にはアイントホーフェン市議会が、ASML分2万人の雇用を生む大型キャンパス拡張を承認しました〔㉜〕。実際の正規従業員数は2025年12月31日の43,520FTEから2026年06月28日の43,938FTEへ、418人増加しています〔②〕。削減は管理職層に集中しており、エンジニアリング・製造・顧客サポートでは純増している、という構図です。
記録的な上方修正の日に、株価は下げた【再検証で修正】初稿では「上方修正に株価は無反応だった」と記述しましたが、単日で判断すると誤読になるため書き直します。決算発表日(2026年07月15日)のアムステルダム終値は1,549.40ユーロで−0.41%、翌16日が1,598.40ユーロで+3.16%、2営業日合計で+2.74%です〔⑮〕。欧州の開示は寄り前に行われるため理論上は当日に反映されますが、実際の上昇は翌日に出ています。「無反応」ではなく「反応が1日遅れ、その後の調整で打ち消された」が正確です(08月21日終値1,506.00ユーロは07月16日から−5.78%)〔⑮〕。
飛び抜けたこと(外れ値)
1四半期で+70億ユーロの上方修正【検証済み】2026年通期売上見通しは、340〜390億ユーロ(2026年01月28日)→360〜400億ユーロ(04月15日)→430〜450億ユーロ(07月15日)と推移しました〔①⑥⑦〕。中央値では37,000→44,000百万ユーロで+7,000百万ユーロ(+18.9%)です。比較対象として、直前の04月の引き上げ幅は中央値+1,000百万ユーロ(+2.7%)で、07月はその7倍の幅でした。同時に粗利率見通しも51〜53%→54〜56%へ3ポイント引き上げられています〔①⑥〕。
逆算した第4四半期は、上期2四半期の合計の79.6%【検証済み・本レポート自計算】上期実績18,093.4百万ユーロ、第3四半期ガイダンス11,000〜12,000百万ユーロ、通期見通し43,000〜45,000百万ユーロから逆算すると、第4四半期の必要売上は12,906.6〜15,906.6百万ユーロ(中央値14,406.6百万ユーロ)です〔①②〕。中央値は前年同期(9,718.1百万ユーロ)比+48.2%、上期合計に対して79.6%、四半期の実績最高値(2025年第4四半期9,718.1百万ユーロ)を48.2%上回る水準です。会社は四半期別の通期内訳を開示していないため、この逆算は本レポートによるものです。
「受注残は空前の水準」は撤回する【撤回・書き直し】初稿では「2025年末の受注残387.97億ユーロは通期売上を上回る空前の水準」と記述しましたが、検証の結果撤回します。2024年末の受注残35,938百万ユーロも同年の総売上28,262.9百万ユーロを上回っており(1.27倍)、2025年末の38,797百万ユーロ÷32,667.3百万ユーロは1.19倍で、倍率は前年より低下しています〔⑦⑧〕。正しい整理は「受注残は2年連続で年間売上を上回る水準にあるが、売上の伸びに受注残が追いついておらず、カバー率は1.27倍から1.19倍へ低下した」です。この低下は受注の弱さではなく売上の急増によるものですが、「空前」という表現は成立しません。
顧客からの前受金が、受注残のほぼ半分【検証済み】2025年12月31日時点の契約負債(顧客からの前受金・前受サービス収益等)は流動16,006.3+非流動3,366.3=19,372.6百万ユーロで、同日の受注残38,797百万ユーロの49.9%に相当します〔④⑦〕。2026年06月28日時点では13,858.3+3,570.3=17,428.6百万ユーロで、TTM売上35,327.5百万ユーロの49.3%です〔②④〕。装置1台の価格が数千万〜数億ユーロ規模で、納入まで年単位を要する契約構造の裏返しであり、これがASMLの価格決定力の実体でもあります。
営業キャッシュフローが1四半期で136億ユーロ振れた【検証済み】2025年第4四半期の営業キャッシュフローは+11,410.3百万ユーロ、2026年第1四半期は−2,185.6百万ユーロで、差は13,595.9百万ユーロです〔②③〕。原因は運転資本で、「資産・負債の増減」が2025年第4四半期に+7,640.7百万ユーロ、2026年第1四半期に−5,158.1百万ユーロ計上されています〔②〕。TTMでは11,486.8百万ユーロでTTM純利益10,638.4百万ユーロを上回るため、年次では健全です。四半期のキャッシュフローを業績の代理指標に使えないことが、この銘柄の分析上の特徴です。
競合比較(5社)と圧倒的に違うこと
唯一の代替が、TTMで赤字【検証済み】ArFイマージョン露光機を供給できる事実上唯一の代替であるニコンは、TTM売上6,832億円(前年比−3.7%)に対しTTM純損益が942.7億円の赤字で、PERを算出できません〔㉒〕。同じ期間のASMLのTTM純利益は10,638.4百万ユーロです〔②〕。「代替がない」という言葉の実体は、代替候補が存在しないことではなく、存在する代替候補が最先端世代を持たず利益も出していないことです。なお両社の赤字・黒字の要因は露光装置事業だけに帰属するものではありません(ニコンは映像・ヘルスケア等の複数事業を持ちます)。この比較は連結ベースの数字であり、露光装置事業単体の比較ではない点に留意が必要です。
成長率は中位、PSRは最高。PBR 26.50倍の読み方【再検証で修正】ASMLのTTM売上成長率+9.8%は、ラムリサーチ+26.0%、KLA+11.7%を下回る集合の中位です〔⑬㉕㉗〕。にもかかわらずPSR 16.37倍は集合で最も高く、PBRは26.50倍です。初稿ではPBRを「装置業界で異例に高い」と記述しましたが、要修正と判定しました。ASMLは大規模な自己株式取得(2026〜2028年に最大120億ユーロのプログラム。上期だけで2,077.5百万ユーロ)と高い配当(2025年通期7.50ユーロ)で株主資本を意図的に薄くしており、PBRの高さの一部は資本政策の結果です〔①⑦〕。株主資本21,825.4百万ユーロは総資産50,214.8百万ユーロの43.5%で、財務の健全性は保たれています〔②〕。「異例に高い」ではなく「還元政策で薄くした資本に対する倍率であり、収益性(ROE 48.74%)と整合する水準」と読むのが正確です。
※検証方法:本セクションの11論点は、すべてレポート本文(第1部〜競合比較)の検証済みデータのみから抽出し、外部ソースとの照合と算術検算を反証姿勢で実施しました(実施日2026年08月24日、判定内訳:支持8・要修正2・棄却1)。主な検証出典はQ2 2026 決算プレスリリース、Financial Statements US GAAP Q2 2026、Statutory Interim Report 2026、2025年通期決算プレスリリース、Form 20-F(2025年12月期)、stockanalysis.comです。情報の質の非対称性について:ASMLに関する数値はすべて同社の法定開示・SEC提出書類(開示ベース)に基づきますが、競合他社の数値は金融データサイトの集計値(第三者集計ベース)、中国の国産露光装置に関する記述は匿名ソースを起点とする報道ベース(単一ソース起点)です。同じ精度で比較できるものではありません。また露光装置市場のシェア(約83%〔⑱〕、約90%〔⑰〕)はいずれも第三者の推計で、ASML自身はシェアの数値を開示していません。
調査上の留意点・未解決事項
- 検証レベルの差と、本レポートの検証体制の限界。本レポートは、仕様上想定されている「独立3エージェントによる相互検証(3票検証)」を実施していません。実行環境の制約により、単一の実行主体による多系統照合((a)会社の一次開示=SEC提出のForm 6-K添付書類とForm 20-Fの原文との逐語照合、(b)報道・決算説明資料との対比、(c)金融データサイトの集計値との突合)で代替しています。第1部・第2部は3系統すべてで裏付けが取れた主張、第3部・第4部(補完調査)は一次開示の裏付けが取れず報道・第三者集計のみに依拠する主張を含み、検証が一段劣ります。
- データソースの偏り。ASML自身の数値は一次開示(Form 6-K/Form 20-F)で完結していますが、競合5社の財務数値はすべて金融データサイト1社(stockanalysis.com)の集計値に依存しています〔⑬㉒㉓㉔㉕㉖㉗〕。各社の一次開示との突合は行っていません。露光装置市場のシェア、露光装置以外の工程(トラック・レジスト・光源)のシェアはいずれも第三者の推計または報道です〔⑰⑱⑳〕。
- 時間感応性の高いデータ。(a)株価・時価総額・倍率は2026年08月21日終値1,506.00ユーロ基準です。(b)為替はECBの2026年08月21日参照レート1ユーロ=1.1699ドルです〔⑯〕。(c)アナリストのコンセンサス(44名・平均目標株価2,001.14ユーロ)は2026年08月24日時点のスナップショットです〔⑬〕。(d)メモリ設備投資の第三者予測(DRAM 2026年613億ドル・前年比+約14%)は2025年11月13日時点の予測で、ASMLの2026年07月時点の見通し(メモリ関連システム売上+75%超)とは9か月の時点差があります〔⑤㉚〕。より新しい第三者集計との突合は未取得です。(e)中国の国産イマージョンDUVの生産目標(2026年5台・2027年20台)は2026年07月時点の報道です〔⑲〕。
- ソース間の数値不一致。(a)中国比率について、Form 20-Fは総売上ベースで29.1%(2025年)と開示していますが〔⑧〕、報道では33%という数字も流通しています〔㉘〕。本レポートは29.1%を採用し、差は分母の定義(総売上かシステム売上か)にあると推定しています。(b)露光装置市場のシェアは約83%〔⑱〕と約90%〔⑰〕で食い違います。本レポートは両方を併記し、いずれも第三者推計である旨を明記しました。(c)時価総額は本レポート自計算578,455百万ユーロ、金融データサイト表示578.38十億ユーロで、差は株式数(384.1対384.05)と株価基準日の違いによるものです〔⑬〕。(d)TTM希薄化後EPSは本レポート27.55ユーロ、データサイト27.54ユーロで、四半期値の丸め差です〔⑬〕。(e)予想PERは本レポート推計約38.2倍、データサイト30.93倍で、前提年度が異なる可能性があります〔⑬〕。
- 単一ソース・未確認の報道。(a)中国の国産イマージョンDUV量産開始はThe Informationが匿名の関係者2名を引用した報道の二次報道です〔⑲〕。(b)製造主体を「上海愛升娜」と特定した報道は、ロイターの匿名の単一ソースによるもので、当事者のSMEEと上海宇量昇はコメントを拒否しています〔⑳〕。(c)High NA EUV 1台あたりの価格(3.8〜4億ドル規模)は報道ベースで、ASMLは価格を開示していません。本レポートの「4〜5台で14〜17億ユーロ相当」という記述は、この報道価格を用いた概算です。
- 検証で棄却され不採用とした主張。初稿で記述した「2025年末の受注残387.97億ユーロは通期売上を上回る空前の水準」は、2024年末の受注残カバー率(1.27倍)が2025年末(1.19倍)を上回っていたため棄却し、「2年連続で年間売上を上回るが、カバー率は低下している」に書き直しました(target bug trends参照)〔⑦⑧〕。また、四半期受注の非開示について「業界で前例のない情報後退」とする表現は、他社の開示慣行を一次情報で確認できなかったため採用しませんでした。
- 会社情報セクションの計算前提。(a)株価は2026年08月21日終値1,506.00ユーロ(ユーロネクスト・アムステルダム)。(b)株式数は2026年06月28日時点の発行済かつ流通株式数384.1百万株(法定中間報告書の持分変動計算書)で、同日以降の自己株式取得は反映していません。(c)有利子負債3,719.7百万ユーロは、US GAAPの長期債務1,984.4百万ユーロとIFRS開示の短期借入金及び1年内返済分1,735.3百万ユーロの合成です(US GAAPの要約貸借対照表が流動負債を一括表示しており内訳を開示していないため)。(d)EBITDA 13,549.5百万ユーロはASML非開示のため本レポートの計算値です。(e)ROEは期末資本ベースです。(f)第4四半期の逆算売上、2026年通期の純利益推計(約15,136百万ユーロ・希薄化後EPS約39.5ユーロ)、第3四半期の純利益推計(4,083百万ユーロ)はいずれも本レポートの推計で、会社の開示ではありません。導出式は各セクションに記載しています。
- 未取得・未解決の事項。(a)2026年上期の受注額および期中の受注残は開示されていないため取得できませんでした。(b)第2四半期の地域別売上(中国・台湾・韓国等の四半期別内訳)は投資家向けプレゼンテーションの図表に含まれますが、SEC提出のHTML版では画像として提供されており数値を抽出できませんでした。地域別の数値は年次(Form 20-F)のみを使用しています。(c)High NA EUVの受注台数・受注残の内訳は開示されていません。(d)ニコン・キヤノンの露光装置事業単体の損益は各社が区分開示していないため、連結ベースの比較にとどまります。
- 全セクション再監査の記録。2026年08月24日に、target bug trends以外の全セクション(セールスポイント・エグゼクティブサマリー・材料・リスク・補完調査・監視ポイント・会社情報・決算速報・競合比較)について、3系統(①財務数値と算術、②材料・リスクの鮮度と帰属、③競合・政策情報)に分けた反証照合を実施しました。主な修正点は次の4点です。(1)中国比率を報道ベースの33%からForm 20-F開示の29.1%(総売上ベース)へ帰属を訂正。(2)株価反応の記述を「無反応」から「当日−0.41%・翌日+3.16%」へ時点を明確化。(3)メモリ設備投資の第三者予測に「2025年11月13日時点」の時点注記を追加し、ASML見通しとの9か月の時点差を明記。(4)受注残に関する「空前」という最上級表現を、反例(2024年末のカバー率1.27倍)に基づき撤回。株価基準日と再監査日の乖離:株価基準日(2026年08月21日終値1,506.00ユーロ)と再監査日(08月24日)は3日(1営業日)の差で、08月24日の日中値は1,504.80ユーロ(−0.08%)でした〔⑬〕。乖離は0.1%未満であり、時価総額・PER・PSR・PBRおよび本レポートの結論に影響しません。
本レポートはAIエージェントによるディープリサーチ(メインリサーチ:5つの調査アングル・取得ソース39本/補完調査:2本・競合と政策の2系統/target bug trends反証検証:11論点/全セクション再監査:3系統)の結果を統合したものです。検証は独立3エージェントによる相互検証ではなく、単一実行主体による多系統照合(一次開示・報道・金融データサイトの3系統突合)で行っています(実行環境の制約。限界は「調査上の留意点」1に明記)。作成日:2026年08月24日(2026年08月24日再監査反映)
免責事項:本レポートは公開情報の整理を目的とした情報提供であり、投資勧誘・投資助言ではありません。記載された数値・見通しは取得時点のものであり、その後の開示・市況により変動します。価格・シェア等の予測値はすべて出典元の見解です。投資判断はご自身の責任において行ってください。


